精神保健福祉士 過去問
第27回(令和6年度)
問123 (精神障害リハビリテーション論 問3)

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問題

精神保健福祉士試験 第27回(令和6年度) 問123(精神障害リハビリテーション論 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

A精神保健福祉士が勤務する地域活動支援センターでは、これまで新型コロナウィルス感染症の流行のため利用人数や利用時間を制限していたが、全面的に再開した。再開後これまでのメンバーに加えて、新たなメンバーも増えてきた。
メンバー同士の交流が増えるにつれて、A精神保健福祉士に対して「他の人からの誘いを断りたいけど、うまく断れなくて困っている」「自分の意見や考えをうまく伝えられるようになりたい」といった相談が多くなった。そこでA精神保健福祉士は、相手の気持ちを大切にしながら自分の意見を主張できることを目指す集団プログラムの実施をメンバーに提案した。
次のうち、このプログラムとして、適切なものを1つ選びなさい。
  • リワークプログラム
  • アサーショントレーニング
  • TEACCH
  • SMARPP
  • IMR

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題で問われているのは、「うまく断れなくて困っている」「自分の意見や考えをうまく伝えられるようになりたい」という相談に対する解決法です。

コミュニケーションにおいて、自分の意見を主張しながらも相手を傷つけないように配慮することはとても難しく、支援を必要とする多くの人々が抱えている問題でもあります。

このような問題に対して、支援者が行うべき集団プログラムに適したものはどれでしょうか。

選択肢1. リワークプログラム

リワークプログラムは、休職中の人が職場復帰を目指すために、生活リズムの調整や体力の回復、ストレスへの対処、業務遂行能力の向上などを図るためのプログラムです。

今回の相談内容とは異なるため不適切です。

選択肢2. アサーショントレーニング

アサーショントレーニングとは、相手を尊重しながら、自分の意見や気持ち、要求を率直かつ誠実に表現するコミュニケーションスキルを習得するための訓練です。

相談内容である「他の人からの誘いを断りたいけどうまく断れない」「自分の意見や考えをうまく伝えたい」というニーズにも応えられるプログラムであり、クライエントの対人関係スキル向上には非常に有効と考えられます。

選択肢3. TEACCH

TEACCHは、主に自閉スペクトラム症のある子どもや大人を対象とした長期的な教育・支援プログラムです。

自閉症の特性を理解し、その特性に合わせた教育や環境調整を行うことで、自立した生活を目標とするものですが、一般的な対人コミュニケーションスキルの向上を目的としたものではないため、設問の回答としては不適切です。

選択肢4. SMARPP

SMARPPは、薬物やギャンブルなどへの依存症傾向を持つ人々のセルフマネジメントと回復を支援するためのプログラムです。

今回の相談内容とは異なるため不適切です。

選択肢5. IMR

IMRは、精神疾患を持つ人が自身の病気を理解し、症状の管理方法の習得と回復に向けた目標設定をし、達成していくためのスキル訓練プログラムです。

病気の管理や回復に重きをおいたものであり、対人コミュニケーションのスキルを向上させるものではありません。

まとめ

アサーションとは、自分も相手も大切にするコミュニケーション技法のことであり、主語を自分(アイ)にすることで相手の意見を否定することなく、自分の気持ちや意見を伝える技術です。

コミュニケーションに問題を抱えているクライエントだけでなく、一般企業の人事や人材育成にも用いられています。

実際のトレーニングは個別または集団でのロールプレイによって繰り返し練習する方法が一般的です。

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02

地域活動支援センターに勤務する精神保健福祉士が、利用者さんの相談を受け実施する集団プログラムについての設問です。

 

・地域生活支援センターにはメンバー同士の交流が増えている状態である

・「誘いを断りたいけどうまく断れない」「うまく自分の意見を伝えられるようになりたい」との相談がある

・A精神保健福祉士は、相手の気持ちを大切にしながら自分の意見を主張できることを目指す集団プログラムの実施を検討した。

 

集団プログラムには、いろいろ考えられますが上記赤字の部分に合致するものかどうか、選択肢を検証していきましょう。

選択肢1. リワークプログラム

適切ではありません。 

 

「リワークプログラム」は、精神的な不調で休職している人が、職場復帰に向けて心身の準備を整えるための支援プログラムをさします。

 

相手の気持ちを大切にしながら自分の意見を主張できること」の特色は備えていません。

選択肢2. アサーショントレーニング

適切です。

 

アサーション」とは、自分も相手も大切にした自己表現を目指すコミュニケーションスキルとされます。

選択肢3. TEACCH

適切ではありません。

 

TEACCHとは、アメリカで開発された、ASD(自閉スペクトラム症)の当事者とその家族を対象とした生涯支援プログラムです。

 

事例の地域活動支援センターで行われるプログラムと趣を異にします。

 

選択肢4. SMARPP

適切ではありません。

 

SMARPPとは、神奈川県立精神医療センターのせりがや病院によって開発された、薬物依存症を主な対象とし認知行動療法の志向をもつ外来の治療プログラムとされています。

 

選択肢5. IMR

適切ではありません。

 

IMRは、リカバリーを志向した心理教育プログラムをさすとされています。

 

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03

本設問では、選択肢に挙げられているプログラムの特徴を把握しておく事で、正答に辿り着く事が出来ます。

選択肢1. リワークプログラム

✕ 不適切です。リワークプログラムとは、うつ病や適応障害などが原因で休職中の人を対象に、職場復帰や復帰後の職場への定着等を目的に、医療機関や地域職業支援センター、リワーク対象の福祉施設などで実施されるものです。

本設問で提案されたプログラムは「相手の気持ちを大切にしながら自分の意見を主張できることを目指す集団プログラム」であり、リワークプログラムは特徴に合致したプログラムとは言えません。

選択肢2. アサーショントレーニング

〇 アサーションは「自己表現」と訳され、アサーショントレーニングでは、相手の立場を尊重しながらも自分の伝えたい事を伝えられるような訓練を行う事となります。自分の自己表現の仕方や傾向などを知り、自分なりの表現の仕方を見つける事ができる事を目標に行われる訓練のため、「相手の気持ちを大切にしながら自分の意見を主張できることを目指す集団プログラム」という条件に合致しています。

選択肢3. TEACCH

✕ 不適切です。TEACCHは「自閉症及び関連するコミュニケーション障害を持つ子ども達のためのケアと教育」を元々の意味としています。自閉スペクトラム症児の診断や評価、その家族や支援者などのサポートを行う事、当事者に対する就労支援等を行うものであり「相手の気持ちを大切にしながら自分の意見を主張できる」事を目的としたプログラムではありません。

選択肢4. SMARPP

✕ 不適切です。SMARPPは、薬物依存症やアルコール依存等の回復を支援するプログラムの事を言います。相手の気持ちを大切にしながら自分の意見を主張できることを目指す集団プログラムではありません。

選択肢5. IMR

✕ 不適切です。IMRは「疾病管理とリカバリー」の略称です。精神疾患を持つ当事者が自身の疾病を理解し、自分自身に適した方法で疾病や症状を自己管理する事に重きを置いています。その上で、自分自身の疾患や症状を改善できるような技術や知識を獲得する事を目的として行われるものです。

相手の気持ちを大切にしながら自分の意見を主張できることを目指す集団プログラムという条件からは外れています。

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